キッコーマン工場見学
2007年 10月 30日(火曜日)中国の豆板醤、タイのナンプラーなど、アジアにはいろいろな調味料があり、お料理にぐっとおいしさを加えてくれます。長い時間をかけて生み出した人間の食の知恵、日本人の食生活に欠かせないもの、今回はお醤油です。
アジアで発達した調味料の醤(ひしお)には、魚介、野菜などの材料を塩漬けにして熟成させた「魚醤」と、穀物を原料とした「穀醤」とあります。仏教などの影響で菜食が主体となった日本人に好まれて独自の発達を遂げたのが「穀醤」で醤油のルーツになります。日本では縄文時代から「醤(ひしお)」が利用されていたようですが、今のような醤油が作られるようになったのは戦国時代からのようです。
野田や銚子では、大消費地江戸に近く、気候が醤油づくりに向いており、原料が手に入りやすく、利根川や江戸川など交通の便がよかったため、江戸時代から本格的なしょうゆの大量生産んが始まったそうです。そんな長い歴史のあるお醤油を作っているキッコーマンの、千葉県野田市の工場へ行ってきました。
お姉さんが親切にお醤油ができるまでの工程を実物や模型、ビデオを交えて説明してくれます。
(看板には「むらさきの里」とあります。昔、お醤油のことを「むらさき」と呼んでいました。今でもお寿司屋さんなどでそう呼んでいたりしますね。なぜ「むらさき」というかというのは諸説があるようですが、色からきている、というのが一般的かもしれません。)
まず大豆と小麦とを合わせて、キッコーマン菌という麹菌を入れて、適切な温度(36℃くらい)と適切な湿度(100%)を保って大きなところで均一に混ぜ合わせられます。大きな部屋で煮た大豆と炒って細かくされた小麦、麹菌をぐるぐる混ぜているのを見ましたが、なんだかもう既においしそうでした。
そこでできたしょうゆ麹と食塩水を混ぜて「もろみ」ができあがります。これを何ヶ月も仕込みタンクの中で、発酵、熟成されます。
実際に熟成されている「もろみ」を見たり、香りを嗅いだりしました。
初期段階、中期段階、熟成期とあって、初期の頃にはまだ色も形も大豆の面影が残っていて臭いもまだ醤油のツンという香りが弱いです。
中期のもろみのにおいを嗅ぐと、アルコールのツンといったにおいが強くなっています。色も茶色っぽくなっています。発酵が進んで乳酸菌や酵母が活動し、アルコールの成分を作り出しているからなのでしょう。
熟成期は中期より、まろやかな香りになっていました。心なしかアルコールの強い香りが弱まっていた気がします。熟成期には、それまで活発だった菌の動きがほとんどなくなっているからなのかもしれません。色は中期よりもっと色が濃く、赤っぽい醤油に近い色になっています。見た目も香りもとても味噌に似ています。
もろみが十分に発酵できたら、いよいよ絞ります。大きな布にもろみを通して、何十にも折り曲げ、絞りきります。しぼったしぼり粕は「醤油粕」というお醤油の香りいっぱいのおせんべいのような板になって、燃料や牛のえさ、その他いろいろなところに利用されているとのことです。実際の醤油粕のにおいを嗅がせてもらいました。おせんべい好きにはたまらなくおいしそうで食べたかったけれど、塩分が高すぎて人が食べられるようなものではないようです。
しぼったらそれでおしまいではなくて、澱や油を分離させ、
火を入れて、殺菌をするとともに色・味・香りを調え品質を安定させます。
それをさらに違う工場に移動してパックしてできあがりです。
ここまでなんと約10ヶ月の長い時間をかけて丁寧に作られています。
すべての工程がオートメーションで行われていて効率化されていますが、
それでも人の目でしっかりチェックしたり、品質管理をしているということでした。
日本人の食生活に欠かせない、お醤油はこのように作られているのですね。
あの赤く透き通った醤油の香りにはこれだけの手間隙がかかっていると思うとより美味しくご飯がいただけそうです。。
おみやげにアメリカ進出50周年の記念ボトル入り、この工場で作られた
ゴールドキャップのお醤油をいただいて帰りました。